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【CEO blog 】〜金融編〜第7回「マイナンバーカードだけの強み②」

本連載は、xID(クロスアイディ)代表取締役CEO日下が金融経済新聞に寄稿している記事をアレンジして掲載しています。

第6回の連載では、マイナンバーカードだけの強みである、公的個人認証(JPKI)を活用することにより、住民基本台帳に登録されている最新の基本4情報(名前・生年月日・性別・住所)の提供を受ける機能について説明しました。

これまで、銀行などで行われていた住所変更などの業務のデジタル化・自動化が可能になるこの機能は、事実上、"住民基本台帳と銀行の勘定系システムを接続できる"仕組みと言えます。
金融機関でのオンライン本人確認といえば、これまでは口座開設時などにおける「取引時本人確認」がメインでした。しかし、近年ではAML/CFT(※1)の観点からも、継続的顧客確認の一環として、住所変更などがないかをこれまで以上に厳格に確認する必要性が増しています。
従来の継続的顧客確認における住所変更の有無確認は、主に郵送や店頭手続きを通じて行われていました。しかし、住所変更の有無確認がより厳格化される場合、これまでの手法では業務負荷やコスト負荷が大きくなる可能性があります。
顧客目線から見ても、オンラインで完結しない住所変更手続きは不便であり、継続的顧客確認業務におけるその他の質問事項の取得も難しくなるでしょう。

2022年の総務省統計局のデータによると、日本国内で約530万人が住民異動(引越し)をしています。この数値は例年あまり変動がなく、したがって金融機関は毎年約530万人分の口座情報を変更する必要があると予想されます。したがって、毎年約530万人分の口座情報を変更する必要が生じることが予想されます。
ここで公的個人認証(JPKI)を活用した最新の基本4情報の提供を受ける機能は、大きな活用が期待されています。
事実上、住民基本台帳と連携できる仕組みであるこの機能の活用で、郵送や店頭での手続きを不要にし、オンライン上で顧客から事前の本人同意を取得することで、最大10年間、最新の名前や住所をいわゆる”住基ネット”に照会をかけ取得することが可能です。
この仕組みを採用する銀行や金融機関が増えることで、顧客は引越しをしても各銀行、証券会社、カード会社などに個別に住所変更手続きを提出する必要がなくなり、利便性が確実に向上します。
同時に、金融機関の視点からも、業務負担やコスト削減だけでなく、カードの未達や不達による顧客の喪失を防ぐ手助けになり、また、苗字や住所の変更を検出することで、顧客のライフイベントを把握し、顧客サービスの提案タイミングを最適化するなどの新しい可能性が広がります。

次回は、本連載の最終回として、デジタルIDと金融DXの未来についてお話しします。

第8回連載の記事は下記をご覧ください▼

xIDはマイナンバーカードを活用した口座開設の本人確認作業や継続的顧客確認を自動化する仕組みについて、金融機関との連携を進めています。
マイナンバーカードを活用した金融業界の取り組みやxIDの事例に興味・関心をお持ちの方は、以下のお問合せフォームよりお気軽にお問い合わせください。

xIDが金融機関向けにリリースした、マイナンバーカードを活用した顧客の「基本4情報(住所・氏名・生年月日・性別)自動更新サービス」に関する詳細情報はこちらをご覧ください。

※1…マネーロンダリング・テロ資金供与対策のこと。 参考 財務省「マネロン・テロ資金 供与対策
※2…総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2022年(令和4年)結果

執筆者:日下光

xID株式会社 代表取締役 CEO
1988年生まれ。2012年に当社を創業。創業時からブロックチェーン技術に注目し、政府機関や民間企業のプロジェクトの企画・提案をブロックチェーン黎明期より携わる。2017年よりエストニアに渡り、eResidencyや政府機関のアドバイザーを務める。静岡県浜松市フェロー。2021年度~2023年度総務省地域情報化アドバイザー。一般社団法人Govtech協会代表理事。デジタルアイデンティティコンソーシアム理事。