【CEO blog 】〜金融編〜第8回「デジタルIDと金融DXの未来」
これまでの連載では、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)を活用することによる革新的なeKYCの仕組みや、マイナンバーカードだからこそできる、住民基本台帳に記録された基本4情報(名前・生年月日・性別・住所)の提供を受ける機能を利用した、住所変更手続きの自動化など、マイナンバーカードが今後確実に解決できる金融業界の既存課題について触れてきました。
連載最終回となる今回は、デジタルIDと金融DXの未来と題して、マイナンバーカードがますます普及し、金融分野での利用が一般的になる未来について探ります。
そもそも、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI※1)とは、政府が国民一人ひとりに無償で発行する、唯一無二の電子証明書です。このような、他社に対して個人が自分自身であることを確実に証明できる信頼の源泉たりえる仕組みを、”トラストアンカー”と呼びます。
公的個人認証(JPKI)のようなトラストアンカーがある社会では、これを起点に、より利便性やプライバシーを担保したトラストサービスの提供が可能になります。このトラストサービスの一つが、デジタルIDです。
このデジタルIDこそが、今後の金融サービス変革の重要なカギだと私は考えています。
マイナンバー(個人番号)そのものが官民で広く利用できない(※2)日本において、デジタルIDの重要な役割の一つが、「データ連携における共通ID」としての役割です。
今後さらに金融サービスを顧客目線に寄り添ったサービスへと変革させていくには、従来の金融サービス内に限定されたパーソナルデータの活用だけではデータが足りないことは明らかです。
非金融分野や行政機関・自治体とのデータ連携によって、顧客一人ひとりに最適化されたサービスの提供や非金融サービス上で金融サービスを利用できるようにする、いわゆるEmbedded Finance(埋込型金融サービス※3)、BaaS(※4)の提供、それらはすべて、異なるサービス間で確実に同一個人を特定できるデジタルIDの仕組みが欠かせません。
さらに今後、デジタルIDウォレット(※5)などの仕組みによって、金融・非金融を問わず、オープンで相互運用性のあるデータ連携・活用が可能になれば、金融事業者が異分野のデータ利活用をすることで新たな金融サービスを生み出し、地域や産業のサービス創造のハブになれるのではないかと、私は考えています。
全8回に渡る、私の連載を読んでいただきありがとうございました。本連載が、読者の皆さんのデジタルIDで金融イノベーション、社会変革を起こすための一歩を踏み出すきっかけになりますように。
xIDはマイナンバーカードを活用した口座開設の本人確認作業や継続的顧客確認を自動化する仕組みについて、金融機関との連携を進めています。
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執筆者:日下光
xID株式会社 代表取締役 CEO
1988年生まれ。2012年に当社を創業。創業時からブロックチェーン技術に注目し、政府機関や民間企業のプロジェクトの企画・提案をブロックチェーン黎明期より携わる。2017年よりエストニアに渡り、eResidencyや政府機関のアドバイザーを務める。静岡県浜松市フェロー。2021年度~2023年度総務省地域情報化アドバイザー。一般社団法人Govtech協会代表理事。デジタルアイデンティティコンソーシアム理事。