【CEO blog 】〜金融編〜第6回「マイナンバーカードだけの強み①」
第5回の連載では、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)機能を使ったオンライン本人確認が、これまで利用の進んでいた、従来の身分証画像のアップロード方式によるeKYC(※1)が抱える3つの課題を解決できる、完全デジタルの本人確認であることについてご説明しました。
一方、単純に既存のオンライン本人確認ソリューションの「置き換え」程度であれば、個人顧客や金融機関の視点から見ても、マイナンバーカードを利用する明確な利点や、実際の利便性を感じるサービスとは断言できないでしょう。そこで今回は、金融業界で現在最も注目されている、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI:Japanese Public Key Infrastructure※2)固有の機能に焦点を当ててご紹介します。
第4回連載でもお伝えした通り、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)は、政府が唯一民間に開放しているデジタル本人確認基盤であり、その最も顕著な特徴は、電子証明書の発行機関であるJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)を通して、民間企業でも完全オンラインで電子証明書の真正性(※3)を検証できることにあります。
実際、これまではこの公的個人認証を使用してオンラインで検証できるのは、電子証明書が真正であるかどうか、そして有効期限切れや引越しによる失効の有無のみでした。
仮に、証明書自体は真正であっても、有効期限切れや引越しなどによって失効している場合、理由の如何を問わず「この電子証明書は失効していますよ。」ということをオンラインで教えてくれるのみであり、仮にも失効したあとのその個人の最新の情報を提供してくれるような親切な仕組みは存在しませんでした。それが2023年5月16日から、大幅にアップデートされました。
現在の公的個人認証(JPKI)機能では、たとえ銀行口座開設時などに公的個人認証(JPKI)を使用して本人確認を済ませた個人顧客が、結婚・または離婚などの理由による苗字の変更や引越しによる住所の変更があった場合でも、住民基本台帳に登録されている最新の基本4情報(名前・生年月日・性別・住所)の提供を受ける機能が加わりました。
このアップデートにより、従来ユーザーが銀行を訪問し、紙でやり取りをしていた住所変更・確認などのデジタル化、自動化が可能になりました
次回の連載では、「マイナンバーカードだけの強み②」と題して、この公的個人認証(JPKI)がもたらす具体的なインパクトについてさらに詳しくお話しします。
第7回連載の記事は下記をご覧ください▼
xIDはマイナンバーカードを活用した口座開設の本人確認作業や継続的顧客確認を自動化する仕組みについて、金融機関との連携を進めています。
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執筆者:日下光
xID株式会社 代表取締役 CEO
1988年生まれ。2012年に当社を創業。創業時からブロックチェーン技術に注目し、政府機関や民間企業のプロジェクトの企画・提案をブロックチェーン黎明期より携わる。2017年よりエストニアに渡り、eResidencyや政府機関のアドバイザーを務める。静岡県浜松市フェロー。2021年度~2023年度総務省地域情報化アドバイザー。一般社団法人Govtech協会代表理事。デジタルアイデンティティコンソーシアム理事。