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【CEO blog 】〜金融編〜第3回「マイナンバーは使い物にならない?」

本連載は、xID(クロスアイディ)代表取締役CEO日下が金融経済新聞に寄稿している記事をアレンジして掲載しています

2023年6月に政府が「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(※)においてマイナンバーカードのサービス拡充や理解促進を打ち出した中で、本人確認をマイナンバーカードに一本化する方針も盛り込まれ、金融業界とマイナンバーカードの関連性はますます強くなっています。 本連載では、マイナンバーカードと連携したデジタルIDを金融業界で活用することで、何が生まれるのか、何が可能になるのか、他国の事例も交えながら記述しています。

※参考…デジタル庁「デジタル社会の実現に向けた重点計画

第3回「マイナンバーは使い物にならない?」
本連載の第2回目では、デジタルIDとデータ連携基盤の活用により、エストニアでは銀行などの民間サービスまでもがデータ連携し、住所情報の更新や個人情報の入力の手間がなくなり、「ワンスオンリーなデジタル社会」が実現している実態をご紹介しました。
第3回目となる今回は、エストニアと同様に国民IDカードを発行し、個人番号であるマイナンバーを国民に付与している日本において、エストニアのようなデジタル社会を実現することができるのか?について考察してみたいと思います。

最初に述べたいのは、日本政府は2023年度末までに約1億人にマイナンバーカードを普及させる目標を掲げている点です。これが実現すれば、世界でも数少ないデジタルID先進国の誕生となりますが、2023年6月末時点での申請数は9700万枚を超えており、目標達成は目前に迫っています。またマイナンバーカードの利活用に向けた普及基盤も整備されつつあります。

ただし、日本では番号法によって、民間企業がマイナンバーを保管・収集することが禁じられており、社会保障や税・行政サービスにおいてのみ活用されているのが現状です。一方、エストニアではID番号自体を公開・利用することは禁止されておらず、この点において両国の差は大きくなっています。
この両国の制度の違いの細かな背景については言及しませんが、日本でマイナンバーが法的な制約により、いわゆる”名寄せ”(※)に使うことを制限されている以上、エストニアのような分野・組織横断的で確実な個人情報のデータ連携は事実上難しくなっています。

実際このようなデータ連携の問題は、大規模な金融機関グループ内でも同様に発生しています。何をアンカーにして同一人物、同一顧客のデータを紐づけるのかは、未だ解決できない課題と言っても過言ではないでしょう。
ここにマイナンバーカードを効果的に活用できれば、民間での、特に金融分野でのマイナンバーカードの活用は加速すると考えています。

実は、金融分野でのデジタルID活用の要所は、マイナンバーカードとデジタルIDであり、マイナンバーが利用できないことは、金融分野に限定すれば、さほど影響はないと思います。

次回は、金融分野におけるマイナンバーカードの活用における今後の可能性について言及したいと考えています。

第4回連載の記事は下記からご覧ください▼

xIDはマイナンバーカードを活用した口座開設の本人確認作業や継続的顧客確認を自動化する仕組みについて、金融機関との連携を進めています。
マイナンバーカードを活用した金融業界の取り組みやxIDの事例に興味・関心をお持ちの方は、以下のお問合せフォームよりお気軽にお問い合わせください。

金融機関向けにリリースした、マイナンバーカードを活用した顧客の「基本4情報(住所・氏名・生年月日・性別)自動更新サービス」に関する詳細情報は下記のプレスリリースをご覧ください

※…同じ人を特定して、1つにまとめること。
参考:ビジネス+IT「名寄せはなぜ重要なのか?」https://www.sbbit.jp/article/sp/35455

執筆者:日下光

xID株式会社 代表取締役 CEO
1988年生まれ。2012年に当社を創業。創業時からブロックチェーン技術に注目し、政府機関や民間企業のプロジェクトの企画・提案をブロックチェーン黎明期より携わる。2017年よりエストニアに渡り、eResidencyや政府機関のアドバイザーを務める。静岡県浜松市フェロー。2021年度~2023年度総務省地域情報化アドバイザー。一般社団法人Govtech協会代表理事。デジタルアイデンティティコンソーシアム理事。


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