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【CEO blog 】〜金融編〜第2回「デジタルIDとデータ連携基盤」

本連載は、xID(クロスアイディ)代表取締役CEO日下が金融経済新聞に寄稿している記事をアレンジして掲載しています

政府が本人確認をマイナンバーカードに一本化する方針を打ち出し、金融業界とマイナンバーカードの関連性はますます強くなっています。 本連載では、マイナンバーカードと連携したデジタルIDを金融業界で活用することで、何が生まれるのか、何が可能になるのか、他国の事例も交えながら記述しています。

※〜金融編〜第1回「金融DXの鍵:デジタル行政基盤」の記事はこちら▼

第2回「デジタルIDとデータ連携基盤」

本連載の第1回目では、日本のデジタル行政において重要な位置を占めるマイナンバーカードと同様の国民IDカードについて、エストニア共和国での国民IDカード(eIDカード ※1)・デジタルIDを用いたデジタル社会の現状をご紹介しました。
今回は、デジタルIDが重要な役割を果たすエストニアのデータ連携基盤と、その基盤を活用したデジタル社会の実現に焦点を当ててお話しします。

エストニアにおけるデータ連携基盤は「X-Road(エックスロード)」と呼ばれ、文字通り安全にデータを流通させる道路のように、異なる行政機関や民間など、分野や組織を横断した個人情報などの安全なデータ共有を実現しています。

一例として、エストニアでは国民の住所情報は「住民登録データベース」という中央データベースで管理されており、このデータ連携基盤を通してのみ、官民問わず国民の住所情報に安全にアクセスすることが可能です。
このような仕組みを利用することで、国は常に最新の住所情報にアクセスできるため、国民は複数の行政機関で何度も住所情報を記入する手間が省けます。この仕組みをエストニアでは「ワンスオンリー」と呼んでいます。

このデータ連携基盤を通した住所情報にアクセスする仕組みは、民間企業にも解放されています。例えば、銀行はデータ連携基盤と自社のシステムを結びつけ、顧客のデジタルIDを使用して住民登録データベースへのアクセス許可を取得できます。
これにより銀行は口座開設時の住所確認のみならず、顧客が引越しをしても常に最新の住所情報にアクセスできるようになります。その結果、住所変更に関する手続きなどの手間を軽減することができます。

また、デジタルIDとデータ連携基盤を活用した代表的なDXの事例として、確定申告が挙げられます。
デジタルIDでログインし、電子署名を付与して提出することで、本人性を担保することができるため、署名や書類の郵送が不要になります。
さらに、納税者の所得情報は企業から支払われた税金をもとに自動的に算出されるため、一般の会社員は入力作業をすることなく、内容を確認して、デジタルIDで電子署名を付与するだけで申告が完了します。そのため一般的な個人の確定申告はわずか約3分で完了し、税の還付は5営業日以内に行われるため、現在国民の98%が電子申告を利用しています。

第3回目の記事は下記からご覧ください▼

xIDはマイナンバーカードを活用した口座開設の本人確認作業や継続的顧客確認を自動化する仕組みについて、金融機関との連携を進めています。
マイナンバーカードを活用した金融業界の取組みやxIDの事例について、ご興味・ご関心のある方は以下のお問合せフォームよりお問い合わせください。

金融機関向けにリリースした、マイナンバーカードを活用した顧客の「基本4情報(住所・氏名・生年月日・性別)自動更新サービス」に関する詳細情報は下記のプレスリリースをご覧ください。

※1…エストニアにおいて、身分証明書法で本人確認手段として定められている写真・ICチップ付きのカードのこと 
参考:総務省『エストニアの 電子証明書等について P5「eIDカードの概要」https://www.soumu.go.jp/main_content/000731090.pdf

執筆者:日下光

xID株式会社 代表取締役 CEO
1988年生まれ。2012年に当社を創業。創業時からブロックチェーン技術に注目し、政府機関や民間企業のプロジェクトの企画・提案をブロックチェーン黎明期より携わる。2017年よりエストニアに渡り、eResidencyや政府機関のアドバイザーを務める。静岡県浜松市フェロー。2021年度~2023年度総務省地域情報化アドバイザー。一般社団法人Govtech協会代表理事。デジタルアイデンティティコンソーシアム理事。

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