Society 5.0ってなに?
「Society 5.0」というワードをご存じでしょうか。行政のデジタル化やAIなどに興味がある方は聞いたことがあるかもしれません。Society 5.0とは、「仮想空間」と「現実空間」の融合によって、新たな価値を生み出す社会を意味します。実は2016年というかなり前の段階から、政府はSociety 5.0を提唱していました。それから数年たった現在において、行政のデジタル化や規制緩和が強力に推し進められています。この記事では、このような状況を踏まえて、改めて「Society 5.0」の内容について解説するとともに、「スマートシティ」と「スーパーシティ」の違いについても説明していきたいと思います。
Society 5.0とは?
Society 5.0とは、一体なにを意味しているのでしょうか。内閣府によると、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されています。
つまり、私たちが実際に生活する「現実空間」と、デジタル技術を用いた「仮想空間」を融合させることによって、新たな価値を生み出し、経済の発展と社会的課題の解決を両立しようとする社会のことを意味します。
Society 5.0に至るまでの社会は、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に分類することができ、現代は情報社会(Society 4.0)とされています。
つまり、私たちがこれから目指していく新たな社会が「Society 5.0」ということなのです。
Society 5.0で実現すること
新たな社会である「Society 5.0」は、AI・ビックデータなどのサイバー空間(仮想空間)と私たちが生活するフィジカル空間(現実空間)の融合によって経済の発展と社会的課題の解決を目指します。では、Society 5.0は具体的にどのようなことを実現するのでしょうか。
交通(例)
例えば、交通について、Society 5.0によってさまざまな新たな価値が生まれます。
各自動車が有するセンサー情報と天気、交通、宿泊、飲食といったリアルタイムの情報、過去の履歴などのビッグデータをAIで解析することにより、「好みに合わせた観光ルートの提供や天気や混雑を考慮した最適な計画が提案され、旅行や観光がしやすくなること」、「自動走行で渋滞なく、事故なく、快適に移動すること」、「カーシェアや公共交通の組み合わせでスムーズに移動すること」、「高齢者や障がい者でも自律型車いすで一人で移動すること」といったことができるようになります。
効率的な交通の実現によって、CO2の排出を削減することもできます。
人間中心の社会
Society 5.0では、今まで人間が行っていた作業などをAI・ロボットが代わりに行うため、人間は煩雑な作業などから解放され、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることができるようになります。
これは、AI・ロボットに支配される社会を意味するのではなく、一人一人の人間が中心となる社会です。Society 5.0によって、人間が中心となる社会を実現させることができます。
どのようにSociety 5.0を実現する?
では、Society 5.0は、具体的にどのように実現されていくのでしょうか。政府は、「スマートシティ」を活用して少しずつ実現させようとしています。
政府は、ICT 等の新技術を活用により、 都市や地域の抱える課題の解決を行い、新たな価値を生み出す持続可能な都市や地域、すなわち「スマートシティ」を推進しています。スマートシティは、Society 5.0の「ショーケース」として考えられており、Society 5.0の「先行的な実現の場」とされています。
交通に関するスマートシティの事例には次のようなものがあります。
この事例では、運行情報や混雑情報などのさまざまなビックデータを解析し、リアルタイムで市民にサービスが提供されています。まさに、Society 5.0を先行的に実現している取り組みです。
「スマートシティ」によく似た概念として、「スーパーシティ」があります。スマートシティが交通・エネルギー・医療など、各分野の個別的な取り組みであることに対して、スーパーシティは、個別分野に留まらず、国の省庁の枠を超えて必要な規制緩和を広範に行うことが特徴です。
スマートシティは、全国の市町村でプロジェクトが行われています(スマートシティ官民連携プラットフォーム)。これらのプロジェクトを通して、Society 5.0を体験してみてはどうでしょうか。