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【対談企画】自治体と住民の双方の負を解消。誰でも簡単にオンラインで施設予約ができる未来へ~マイナンバーカードを活用し公共施設予約をオンライン化


はじめに

2024年1月、マイナンバーカードの申請枚数がおよそ9800万枚(※1)となり、運転免許証の保有者数(※2)を超え、次のフェーズであるマイナンバーカードの”利活用”に注目が集まっています。いま全国の自治体では、マイナンバーカードはどのような使われ方がされているのか。
今回はマイナンバーカードと連携した公共施設予約管理にフォーカスし、公共施設予約管理システムを提供しているスペースマーケット社(以下スペースマーケット)の高尾友喜氏と、xID社(クロスアイディ)の施設予約システム担当の丸山太喜が、公共施設予約管理システムのマイナンバーカード活用のメリットや背景、導入事例ついてオンライン対談を行いましたのでご紹介します。
※1…総務省「マイナンバーカード交付状況について
※2…警察庁「運転免許統計

対談者

高尾友喜
株式会社スペースマーケット Spacepad事業グループVP(事業責任者)
2008年株式会社リクルートに新卒入社後、8年間営業として従事。2016年株式会社スペースマーケットへ参画。21年から執行役員としてSpacepad事業を立ち上げ、現在は同事業VPとして事業を統括。2022年から秋田県湯沢市、兵庫県神戸市等での本システム導入業務に従事。また今年度は10を超える自治体での導入を見込み、全ての自治体で業務を担当。

丸山太喜
xID株式会社 法人事業部 法人サクセスチーム アカウントマネージャー
2021年1月にxID入社。パートナー企業とのAPI連携を担当後、2021年7月より自治体様のご支援も兼務。デジタル田園都市国家構想でのマイナンバーカード活用や地方自治体様のデジタル化の支援をパートナー様と推進を行う。その中で施設予約のパートナーであるスペースマーケット社を担当。

自治体の利用が増えつつある公共施設予約管理システムとは?

~あらためてですが公共施設予約管理システムについて、またスペースマーケットの公共施設予約管理システム「Spacepad」について教えてください。

高尾:公共施設予約管理システムとは、住民がオンラインで公共施設(※1)の利用予約を行うことが出来るサービスで、すでにいくつかの自治体が導入しています。「Spacepad」(※2)は、施設管理者と利用者を取り巻くさまざまな負担を取り除き、公共施設の管理業務を楽にする、クラウド型予約管理システムです。2023年8月に正式にサービスをリリース。2024年でQR決済、抽選機能など、公共施設予約に必要なあらゆる機能を網羅する予定です。特徴としては、”使いやすさ”と”拡張性”が挙げられます。
使いやすさというのは、あらゆるスペースを簡単に貸し借りできるプラットフォーム「スペースマーケット」開発ノウハウやUIUX構築のスキルを有していることに起因しています。弊社では、2014年からスペースの貸し借りができるプラットフォームを提供しており、既に2万7560件以上(※3)のスペースを取り扱っています。それらのプラットフォーム運営経験から得た、利用者・施設管理者双方にとっての使いやすいサービスの操作方法やUIUXというのを日々追求しています。
また、拡張性においては、スマートロックやクラウドカメラなど無人化につながるクラウドサービスと連携し、提供できる点が挙げられます。労働力不足が社会問題となっている中で、自治体の施設管理者へのヒアリングや現場の声に基づき、公共施設管理の省力化を実現する機能の実装を推進しています。

※1…自治体が管理する体育館や会議室といった公共施設のこと。
※2…「Spacepad」サービスサイト
※3…2024年1月9日(火)時点の掲載数

「xID」と連携し、公共施設予約管理システムが完全オンライン化

~「xID」と「Spacepad」が連携した背景について教えてください。

高尾:全国の自治体や公共施設管理者へのヒアリングの結果、利用者が公共施設を利用する際に「本人確認に時間がかかる」ことが課題になっていると相談が多く寄せられていました。公共施設予約では、事前に窓口での本人確認や、利用者が窓口に利用料を支払いに来た際に、免許証などで住民確認を行う手続きがあります。このオペレーションが利用者・施設職員双方にとって非常に手間となっています。さらに、利用者が住民かどうかで利用料が変わったり、オンライン支払いに移行する場合には再度本人確認や住民確認が必要となるなど、手続きが煩雑化していました。
丸山:xIDとしても、施設予約において本人確認で時間がかかっていることを自治体にヒアリングし認識していました。マイナンバーカードの公的個人認証(※2)を活用すれば、オンラインでの即時の本人確認・住民確認が24時間いつでも可能になるため、「xID」を連携すればスペースマーケット社が感じている課題が解決できると思いました。「xID」はマイナンバーカードの公的個人認証の仕組みを活用しており、今回の公共施設予約管理システムをはじめ、中立なデジタルIDとして、自治体で活用される様々なWebサービスで利用されています。自治体から、従来の施設予約システムが使いづらいという話も聞いており、「xID」と連携できるユーザビリティの高い公共施設予約管理システムを探していたこともあり、提案から連携までスムーズに進んだのかと思います。
高尾:最初はマイナンバーカードの公的個人認証を自社で実装することも考えましたが、社内で試算したところ、年単位でかかるということが分かりました。開発コストも含めて検討し、xIDとの連携をすすめましたが、なんと1か月半で「Spacepad」に実装が完了しました。
丸山:自社開発でのマイナンバーカードを活用した本人確認機能の実装は、要件整理や法の理解などが必要で、ハードルが高いです。「xID」には、これまでさまざま様々なサービスと連携してきたノウハウがあり、時間をかけずに連携を進めることができます。またOAuth2.0やOpenID Connectなどの国際標準仕様に準拠したセキュアなRest APIで技術的にも簡易で安全に実装することができます。

※1…「xID」サービスサイト
※2…みんなのデジタル社会「公的個人認証の仕組み|マイナンバーカードとの関係も解説

~「xID」と連携した「Spacepad」の概要と特徴について教えてください。

高尾:「xID」と「Spacepad」のユーザーIDを連携させることで、利用者の本人確認時に、基本4情報のうち性別を除く3つの情報を「Spacepad」に自動的に取り込むことができるようになりました。これにより、オンライン上で本人確認と住民確認が自動的に行えるようになりました。
丸山:高尾さんも仰るように「オンライン上で本人確認と住民確認が自動的に行える」、これが「xID」活用の最大の強みだと思います。住民は窓口に行かなくても本人確認を完了することができるので、事前に役所や施設に訪問して本人確認をする手間が省けて利便性が向上します。また施設職員は窓口対応や書類の郵送などの業務負担軽減はもちろん、本人確認情報を基に年齢や居住地によって異なる施設使用料の管理が可能になり、事務作業の効率化が可能になります。また安全性の部分も特徴として挙げられるかと思います。「xID」で生体認証を含む多要素認証によるログインが実施できるため、高いセキュリティも実現します。従来のID・パスワードでのログインは、なりすましやID共有利用の課題がありますが、多要素認証を備えた「xID」でのログイン(政府ガイドラインの保証レベル2以上)を利用することで、当人認証をより厳格に実施でき、生体認証を活用すればパスワード忘れの心配もなく利便性も向上させることができます。
高尾:その他にも、現場から様々な課題をいただき、マイナンバーカードを活用して解決できる機能を実装しようとしています。具体的な例として、マイナンバーカードで本人確認したユーザーIDのみが施設利用の抽選申込に参加できる「抽選機能」を準備しています。現行の施設予約システムにおいて、施設予約の抽選をオンラインで行う際に、フリーメールアドレスを使用して複数のアカウントを作成し、これによって抽選に不正に参加するといった公平性に欠けるという課題が現場の情報から明らかになりました。今後こういった課題を収集し、それらを解決するための機能をどんどん追加していく予定です。

~「xID」と連携した「Spacepad」ですが、複数の自治体で2024年から住民公開がはじまります。自治体における導入の背景、どこが評価されたのかについて教えてください。

高尾:まず導入予定自治体について、今お話できる範囲でいうと、山梨県韮崎市、宮城県柴田町、山形県西川町などの自治体で導入される予定です。「Spacepad」は完全オンライン化されており住民の利便性が高く、さらに自治体ごとのオプション機能の実装も即座に提供可能で、自治体ごとの課題に迅速に対応できるという点が評価されたのではないでしょうか。また自治体において「マイナンバーカードを活用したい」という需要があり、同時に「何から手を付ければいいのか分からない」という課題がある中で、そこに素早く対応できたことも評価されていると思います。
丸山:xIDでは、自治体に向けて政府の「デジタル田園都市国家構想交付金」(※1 以下「デジ田」)活用提案を早い段階で行い、各自治体が抱える課題や懸念に対して提案・サポートするなど、マイナンバーカードの活用からサービスの提案まで包括的な支援を行っており、その取り組みが評価されたと考えております。結果として、2023年のデジ田TYPE3・TYPEXにおいて、スタートアップ最多の採択数を獲得(※2)しています。
また「xID」のもつ”拡張性”も評価されたのかなと思います。「xID」は施設予約システムと連携したら役目は終わりではなく、電子図書館や出産育児アプリ、給付金事業、デジタル通知、電子申請など、さまざま自治体サービスで本人確認のデジタルIDとして活用することができます。自治体は一度「xID」を導入するだけで、マイナンバーカードの活用を一気に進めることもできれば、1つのサービスにだけ活用するといったスモールスタートも可能で、そういった自治体の要望に柔軟に応えることができる部分も評価いただいたのかと思います。

※1…総務省「デジタル田園都市国家構想交付金
※2…xID、「デジタル田園都市国家構想交付金デジタル実装タイプ」TYPE3・TYPEX”双方において、スタートアップ最多の採択数に

~「xID」と連携した「Spacepad」ですが、自治体の担当者や職員の方の反応はいかがでしょうか?

高尾:リリースしたばかりで具体的なコメントはまだですが、デモ段階では、かなり良い感触です。「ようやくデジタル化がはじまった」というお声もいただいております。自治体によっては、まだ紙でしかやっていないというところも多く、「Spacepad」の導入は、現場で大きなインパクトがあるようです。
丸山:わたしも自治体からかなりよい感触をもらっています。マイナンバーカードの活用に関して導入後もサポートがしっかりしており、機能も充実していることから「細かいところまで手が届いている。」といったお声を頂戴しております。

~「xID」と連携した「Spacepad」の今後の展望やサービスにかける想いをお聞かせください。

高尾:我々は、「Spacepad」の導入によって、顧客の実務が効率化されることが最も重要だと考えています。さらには、将来的な労働力の減少を見据え、「施設管理の省力化」、そして最終的には「無人化」を実現できるプロダクトとして、顧客と共に社会課題の解決を実現できる存在でありたいと思っています。労働力不足は今後 、特に日本の地方では、ますます深刻になっていくと思います。そうすると今まで通りの施設運営が困難になり、結果的に困る住民の方が出てくるかもしれない。そこに「xID」と連携した「Spacepad」を導入することで、施設は今まで通り運営することができますし、利用者の利便性も向上すると考えています。 現在公共施設の管理や運営の現場では、公平性の観点から細かな規則が存在し、さらに条例等が絡んで煩雑になっています。そのため、これらの課題を解決するためのハードルは参入する企業にとっても高いものになっています。今後「Spacepad」をベースにして顧客の課題解決にチャレンジしていき、マイナンバーカードを活用したDXのナレッジもどんどん横展開し、施設管理の効率化および省力化を全国の顧客と実現したいです。
丸山:「Spacepad」を自治体へ広げるとともに、マイナンバーカードを活用する自治体を一緒に増やしていきたいと考えています。今後自治体職員の人数も減少する傾向にあると思いますが、比例して業務量が減ることはありません。自治体DXは今後かなり重要になってくると思いますし、自治体DXを成し遂げるには、マイナンバーカードの活用が必須になります。そしてマイナンバーカードの機能をより便利に使うには「xID」が活用できます。xIDを通して自治体職員の業務効率化、自治体DXに貢献したいです!

さいごに

自治体DXや自治体業務の効率化は全国の自治体で進んでおり、その流れには「マイナンバーカード」は欠かせません。
「マイナンバーカード」を活用したオンラインでの本人確認は、行政手続きのオンライン化を可能にし、自治体業務の効率化と住民の利便性向上が期待できます。
今回の施設予約システムをはじめ、全国の自治体でマイナンバーカードを活用したサービスがはじまっています。
本取組に関してご興味を持たれた自治体の担当者様、事業者様はぜひ下記よりお問合せください。