「マイナちゃんピオンシップ・かがわ2022ファイナリスト最終プレゼンテーション大会」レポート
はじめに
マイナンバーカードが持つ本人確認・認証機能をデジタル社会の基盤として徹底的に利活用し、行政サービスだけでなく民間ビジネスの様々な局面での利用を進めるため、香川県及び県内全17市町を主催として、2022年12月19日(月)、香川県高松市にて「マイナちゃんピオンシップ・かがわ2022ファイナリスト最終プレゼンテーション大会」が開催されました。ファイナリスト最終プレゼンテーション大会は、”そうだ!マイナンバーカードを取得しよう”Tシャツを着た香川県副知事(CDO)の西原氏による挨拶からスタートし、ファイナリストによるプレゼン、自治体とファイナリストのマッチング、審査発表と表彰式が行われました。
「マイナちゃんピオンシップ・かがわ2022」は、2022年10月3日㈪の参加者募集からはじまり、24の応募者から6者のファイナリストが選ばれました。ファイナリスト最終プレゼンテーション大会では、大会メンター・アドバイザーによるメンタリング支援を受けてブラッシュアップされた6つのプランが、発表されました。
本記事では、ファイナリストによるプレゼン内容と最優秀賞・優秀賞を受賞されたプラン、大会の総評をダイジェストでまとめています。
ファイナリストによるプレゼン
ファイナリストには、プレゼン時間7分、質疑応答が6分、計13分の時間が与えられています。ファイナリストのプランと質疑応答の様子を、ざっくりまとめましたのでご紹介します。
ファイナリスト名:hamano氏
タイトル:「ワンニャンバーカード スマート愛犬家シティ構想」
飼育犬の身分証を、スマートフォンとマイナンバーカードの空き領域に登録し、飼い犬にさまざまなサービス(電子ワクチン証明、補助犬証明、里親プラットフォーム)を提供するというものです。hamano氏は、香川県が犬の飼育率が日本で最も高い(令和2年※)数値に着目し、香川県を日本で一番ペットを飼育しやすい県としてアピールしたい、という。この取り組みで、ペット好きの移住・定住促進や健康増進にも活かされます。
※参照…厚生労働省「都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等(平成26年度~令和2年度)」
ファイナリスト名:ZETA有限会社 & 藤井秀樹氏
タイトル:「マイナロ|mynalo」
マイナンバーカードと、BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンを使ったロケーション認証をマッチングさせた情報・認証サービスです。ビーコンと携帯電話のGPS情報を組み合わせて、ユーザーの位置情報を特定することが可能で、マイナンバーカードを連携し居住地を証明したユーザーへサービスを提供するというものです。APIを提供するので、色んなサービスと組み合わせて使うことができるため利便性も高いといいます。
ファイナリスト名:AokiApp 青木勇樹氏
タイトル:「マイナウォレット マイナコネクト」
マイナンバーカードを連携したAPIが暗号資産ウォレットになるサービスです。マイナコネクトは、eKYCを利用し、スマホにマイナンバーカードをタッチするだけで、マイナウォレットを作成することができます。ユーザーはマイナンバーカードさえ持っていれば簡単に安全な仮想通貨など暗号資産のウォレットをつくることができます。具体的なサービスをあげると、自治体の定額給付金をJPYC(日本円ステーブルコイン)で簡易に配布ができます。また地域通貨の発行時には、マイナウォレット(仮称)を活用して電子マネーのようにQRコード決済ができたり、ECサイトでのオンライン決済も可能になります。
ファイナリスト名:TRT研究所
タイトル:「マイチャレかがわ! スピンオフ企画 「無病息災」1年チャレンジ」
1年を通じて健康保険証の利用履歴がない方にマイナポイント等のインセンティブを付与するサービスです。タイトルにある「マイチャレかがわ」とは、歩いてポイントを貯めてお得な景品がゲットできる香川県主催の健康ポイント事業です。サービスにエントリーするには、マイナンバーカードと健康保険証を一体化することが条件としてあり、マイナポータルの「医療保険の医療費通知情報」を表示し、対象期間に画面キャプチャーを提出して”ゼロ円表示”の方にマイナポイントをプレゼントするというものです。本サービスの元となる「マイチャレかがわ」と親和性が高く、県民の健康への関心度がさらに上がる施策で、マイナンバーカード、マイナポータル、マイナポイントを活用するため、マイナンバーカードの利活用が一気に促進されます。
ファイナリスト名:株式会社ギフティ
タイトル:「giftee for government ~キモチが循環する社会へ~」
マイナンバーカードと「デジタルギフト」を活用した住民一人一人に合わせて自治体の支援施策が行き渡るサービスです。「デジタルギフト」とは、コンビニや有名ブランドの商品をURL化し、LINEやメールで簡単に送ることができるサービスです。例えば地域でボランティアや福祉活動を行った住民に、QRコードを読み取ってもらい、マイナンバーカードによる本人認証を行った後にデジタルギフトを付与することで、自治体から住民へ感謝を伝えることができます。さらに住民の地域イベント参加率や電子申請などの地域貢献の度合いを判定し、地域貢献ポイントを付与するなど、地域支援活動の拡張や最適化に貢献することができます。
ファイナリスト名:株式会社Liquitous
タイトル:「信頼性を担保したデジタル市民参加プラッフォームで、 『参加型予算』をかたちに」
参加型予算とは、自治体予算の一定割合の使途について、アイディアを応募し、住民による投票で予算を決める手法です。今回の提案は、この参加型予算決定までの一連の流れを、オンラインプラットフォームで実施しようというものです。Liquitousが開発しているオンラインプラットフォームでは、マイナンバーカードによって信頼性が担保された住民が参加し、事業アイディアの閲覧や投票が可能です。住民が地域のあり方を検討する機会がうまれ、行政の透明性を強化、住民へ行政の取り組みに理解を促すことが可能です。
受賞と総評
本大会の審査基準は以下の5つです。
マイナンバーカードの利活用促進に資する内容であるか
新規性があるか
住民にとって便利なサービスであるか
サービス実装の実現性が高いか
デザイン及びユーザーインターフェイスが優れているか
6つのプレゼンの中で、5つの審査基準で最も評価されたプランが最優秀賞を受賞します。
最優秀賞
hamano氏
タイトル:「ワンニャンバーカード スマート愛犬家シティ構想」
受賞コメント「最優秀賞を受賞できて大変うれしいです。私の提案した資格証明書のデジタル化は、いつかは実現されるんだろうと思います。ただそれが遅れてしまうと”デジタル後進国だ”と言われてしまいます。また標準仕様があるのに独自仕様を使ってしまうと”ガラパゴス”だと言われてしまう。そうならないよう、この大会の名称でも使用されているように、アクセラレイト(加速)できるようにご協力できればと思います。」
優秀賞
株式会社Liquitous「信頼性を担保したデジタル市民参加プラッフォームで、「参加型予算」をかたちに」
受賞コメント「大変光栄な賞をいただきありがとうございます。今回いただいたのはあくまで賞であり、大事なのは提案したサービスを作り上げて実装し、自治体と共に地域住民のみなさんに届けることだと思っています。今回の受賞を励みにして、これまで以上に精一杯努力してまいります。」
審査員講評
最後に本大会の審査員から、講評として以下のようなコメントがありました。
プレゼンを聞いていると、どれもよいプランで、僅差の勝負でした。本大会をきっかけにして、次は今回のプランを実装のフェーズへと進み、より磨いていってほしい。そしてマイナンバーカードの利活用が進み、社会全体のデジタル化が一層進んでいくよう願っています。
マイナンバーカードの利活用の話と国民や住民の利便性に関する話の両立は難しいと思います。今回は利用者が分かりやすく、シンプルなプランが受賞されましたが、理想高くいろんな仕組みを活用して両方を実現したいというプランがあり感銘を受けました。今後は、本大会を通じて、マイナンバーカードの普及だけにとどまらず、利便性の向上、さらには効率化や共通化へと進んでほしいと思っています。
今後マイナンバーカードを活用したサービスを展開していく上での”基盤”のプレゼンが多くありました。この”基盤”があれば、「こういうサービスもできる」という素晴らしいプラン
のがどんどん出てきて、ここから更に話し合いを重ね、香川発の世界的なサービスを実現していってほしいです。これから日本はデジタル社会に進化していきます。まだ「デジタルとはなんだろう」という人がいるのは事実なんですが、スマホの普及率を考えるとあっという間に、デジタル化は進んでいくのだろうと思います。今回の大会を通して、香川県や各市町の方がデジタルに関して関心を持っているのが分かりました。これから県市町一緒になって、民間企業や住民と共に、デジタル社会を迎えれるよう進めていきたい。
まとめ
本レポートでは、「マイナちゃんピオンシップ・かがわ2022」ファイナリスト最終プレゼンテーション大会の内容を書き起こしました。
なおプレゼンテーション大会の様子は下記URLで閲覧が可能です。
最後に、「マイナちゃんピオンシップ・かがわ2022」ファイナリスト最終プレゼンテーション大会の概要を掲載します。