【金融機関の方必見】「xID API」を活用した『顧客の住所変更の自動更新サービス提供』の背景ときっかけをご紹介
はじめに
金融機関へ向けて新サービス「xID(クロスアイディ)マイナンバーカード連携基本4情報自動更新サービス」のプレスリリースを発表して以来、「非対面の本人確認手法がマイナンバーカード一本化」が政府から発表されるなど、金融業界におけるマイナンバーカードの注目度が高くなっています。
そこで本記事では、顧客の住所変更の自動更新サービス背景やきっかけ、金融機関における本人確認の課題を整理し、マイナンバーカードによる本人確認が導入されることでのメリット、「xID」を活用することの利点、「xID」の金融機関での活用イメージについて解説します。
マイナンバーカードによる本人確認が一本化された背景と本人確認の課題
政府は2023年6月、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を発表し、犯罪収益移転防止法(以下「犯収法」)および携帯電話不正利用防止法に基づく非対面の本人確認手法は、原則としてマイナンバーカードの公的個人認証に一本化する予定であることを発表しました。(※1)
マイナンバーカードの交付率が76%(2023年10月時点※2)を超え、公的な身分証として普及しはじめたこと、また本人確認の主流だった画像解析型のeKYC(オンライン上の本人確認)がもつ課題が影響していると言われています。
※1…デジタル庁「今回の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の主なポイント」より
※2…参照:総務省「マイナンバーカード交付状況について」より
画像解析型のeKYCがもつ課題
画像解析型のeKYC(Electronic Know Your Customer 以下「画像解析型eKYC」)とは、オンライン上での本人確認を画像を用いて行う仕組みを指します。この方法では、個人は自身の顔写真と身分証明書(たとえば運転免許証など)の画像を撮影し、これらのデータを送信することで、オンライン上で本人確認を完了させることができます。画像解析型eKYCは、手続きにかかる時間を大幅に削減し、顧客の利便性を向上させるメリットがあります。
しかし、犯罪収益移転防止法(以下「犯収法」)により、自身の顔写真と身分証明書の画像の目視確認が推奨されており、完全な自動化は不可能です。
また、本人確認書類の偽造が広く問題とされています。(※)偽造身分証を使用して銀行口座を開設し犯罪に悪用する事例や、他人のSIMカードを偽造身分証で入手して特殊詐欺に利用する事例など、身分証の偽造は深刻な問題となっています。
※…参考「特殊詐欺に悪用される電話手段、警察庁が本人確認徹底策を検討」
「マイナンバーカード」は、民間事業者が公的機関にオンラインで照会をかけ、利用者の本人確認を確実にいつでも行える身分証
そこで期待されているのが、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)による本人確認の完全自動化です。
公的個人認証(JPKI)とは、マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用し、オンラインで安全・確実な本人確認を行うためのサービスのことです。(※)
マイナンバーカードの公的個人認証は、民間事業者が公的機関に対して24時間365日、オンライン上で本人確認をすることができます。犯収法、携帯電話不正利用防止法に基づく非対面の本人確認手法が、マイナンバーカードを活用した本人確認に一本化することにより、今までの課題としてあった本人確認作業の自動化や、偽造身分証を使用した銀行口座開設といった問題を一気に解決することができるようになります。
※…参考:デジタル庁「公的個人認証サービス(JPKI)」
金融機関における住所変更の課題
銀行で口座開設時に行う本人確認は、氏名、住所および生年月日などを確認する「取引時本人確認」(※1)のみでした。そのため、銀行側においては、口座開設後にもし顧客が引越しで住所が変わっても本人が届け出ないかぎり把握することができず、また同一の個人が継続して口座を利用しているかどうかも判別しづらいという課題が存在しています。
加えて、銀行担当者の負担も増加しており、例えば2022年には日本国内で約530万人(※2)が住所を変更しましたが、特別な事例を考慮せずに単純に考えると、これは約530万人分の口座情報を変更する作業が生じます。
さらに将来的にはAML(Anti-Money Laundering:資金洗浄防止対策)およびCFT(Countering the Financing of Terrorism:テロ資金供与対策)の観点からも、顧客の継続的な本人確認がますます必要とされており、金融機関における本人確認の課題解決は非常に重要です。
※1…一般社団法人 全国銀行協会「犯罪収益移転防止法に関するよくある質問・回答」
※2…総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2022年(令和4年)結果」
マイナンバーカードと連携した「xID」で金融機関が抱える住所変更の課題を解決
上記で挙げた課題は「xIDマイナンバーカード連携基本4情報自動更新サービス」を利用することで解決できます。
「xIDマイナンバーカード連携基本4情報自動更新サービス」とは
地方公共団体情報システム機構(J-LIS)より提供が開始される最新基本4情報(住所・氏名・生年月日・性別)自動提供サービス(※)を、金融機関などが簡単に実装できる「xID API」の新機能です。事前に顧客からの同意を得ることにより、住所や氏名などの更新を完全オンライン化することができます。
※…参考 Impress Watch「マイナンバーカードの住所更新で銀行にも自動反映 5月16日から」
「xID API」の詳細はこちら▼
「xIDマイナンバーカード連携基本4情報自動更新サービス」で金融機関の住所変更の課題を解決
金融機関側の課題として、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)を活用した本人確認機能や氏名・住所の自動更新機能を独自で開発、もしくは既存のアプリに実装しようとすると、各社が個別にUI設計を行うことになるため、実装に関連する法律の理解や要件定義が煩雑になります。さらに開発期間が長くなることで開発コストの負荷も増えます。
しかし、「xIDマイナンバーカード連携基本4情報自動更新サービス」は、既存・新規のアプリに簡単に組み込むことができるため、開発などにかかるコストを大幅に削減できます。
また顧客側の課題として、住所変更する度に情報変更を申請する手間が増えることが挙げられます。また金融機関側がそれぞれ独自の本人確認機能や氏名・住所の自動更新機能を実装すると、顧客は使い方を調べたり操作方法を覚える手間が増えてしまいます。
「xIDマイナンバーカード連携基本4情報自動更新サービス」を導入することで、事前の本人同意により、銀行などに登録している顧客の氏名・住所が自動更新されるため、更新忘れがなくなり、また情報登録の手間が省けます。
金融機関のサービスに、マイナンバーカードによる本人確認を導入することで実現できること
今後、金融機関のサービスに、マイナンバーカードによる本人確認、氏名・住所の自動更新機能が実装された場合、どのようなケースで役立つか、いくつかユースケースを挙げてご紹介します。
郵送費や行員の業務負担削減
金融機関では、更新されていない顧客の住所へ通知物を送付したり、窓口で顧客に基本情報の確認を求めるなど、住所変更がされていなことが原因で、郵送費用や行員の業務負担が増加しています。しかし、基本4情報が自動更新されれば、最新の住所に郵便物を送付できるため郵送費削減につながり、また行員による窓口での確認時間も短縮されるため、業務負担の軽減につながります。
顧客の解約防止や機会損失の削減
顧客の住所情報が更新されていないため、銀行やカード会社は、通知や案内を送付できず顧客と連絡が取れなくなる場合があります。しかし、住所情報が自動的に更新される仕組みがあれば、顧客とのコミュニケーション機会が確保され、継続的なサービスの提供、解約防止に寄与します。
住宅ローンの契約にも活用
近年、住宅ローンの不正利用が増加しています。(※)典型的なケースとして、個人が住宅ローンを契約した後、住宅を収益目的で第三者に貸し出す事例が挙げられます。住宅ローンは他の種類のローンに比べて融資条件が有利であるため、このような不正行為が増加傾向にあります。このケースでは、住宅を購入した後にローン契約主の正確な住所情報を把握できないことが課題となっています。しかし、ローン契約主の住所情報が自動的に更新される仕組みがあれば、このような目的外融資を抑止することができます。
※…参考:MBS毎日放送「住宅ローン4000万円の『一括返済』を求められ絶望」
さいごに
xIDを金融機関でどのように活用できるのか、また新サービス「xIDマイナンバーカード連携基本4情報自動更新サービス」について、ご興味のある金融機関の方はぜひ下記よりお問い合わせください。
またxIDblogでは、金融機関様向けのコンテンツを充実させております。金融サービスのeKYCご担当者様はぜひ下記の記事もご覧ください。