マイナンバーカードとは?今さら聞けないマイナンバーカードの概要や経緯、利活用シーンを解説
現在、行政機関や民間企業でマイナンバーカードの活用が進んでいます。行政では、電子申請や施設予約などの行政サービスにおいて、また民間では金融機関を中心に、口座開設時の本人確認にマイナンバーカードの公的個人認証サービス(JPKI)が利用され始めています。政府も「本人確認におけるマイナンバーカードの一本化」の方針(※)を示しているため、今後ますますマイナンバーカードの公的個人認証サービスの活用が増えることが予想されます。そこで今回は、マイナンバーカードによる本人確認を導入しようと検討している行政や企業の担当者のために、マイナンバーカードの概要や誕生の経緯、利活用の事例など基本的な知識をご紹介します。
マイナンバーカードとは?
マイナンバーカードとは、個人番号カードとも呼ばれ、日本国政府が発行する公的な身分証明書です。このカードは、券面に顔写真や氏名・生年月日・性別・住所といった情報が記載されており、対面での本人確認に使用されます。
さらに、ICチップが内蔵されており、行政手続きやオンラインサービスの利用時の本人確認に必要な電子証明書も格納されています。
ここで改めて、マイナンバーとの違いやマイナンバーカード誕生の経緯、目的について改めて解説します。
マイナンバーとマイナンバーカードの違い
マイナンバーとマイナンバーカードは混同されがちですが、それぞれ異なるものです。
マイナンバーとは、簡単に言えば12桁の個人番号のことです。この番号は、結婚や引っ越し、転職などのライフイベントがあっても変わりません。
一方、マイナンバーカードとは、マイナンバーが記載されたICチップ付きのカードのことを指します。このカードには、マイナンバーのほかに、顔写真、氏名、生年月日、性別などの個人情報が記載されています。
例えば、事業主は従業員のマイナンバーを受け取り、入社時の税や社会保障に関する手続きを行います。この際、提示されたマイナンバーが本人のものであることを確認するために、従業員は身分証明書としてマイナンバーカードなどを提示します。
また、行政の証明書発行などの電子申請には、マイナンバーカードが使用されます。
マイナンバーカード誕生の経緯
マイナンバーカードを含むマイナンバー制度は、2009年12月に発表された「平成22年度税制改正大綱」で「社会保障・税共通の番号制度導入」として初めて言及されました。
この制度は、社会保障と税制を一体化させ、社会保障の充実・効率化を図りつつ、所得税の公平性を確保することを目的としています。
これをきっかけに、「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会」や「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」などが設けられ、制度の具体的な策定が進められました。
これらの会議では、海外の事例を参考にしながら、さまざまなタイプの番号制度が比較検討されました。こうした議論を経て、2013年にマイナンバー法が成立し、マイナンバーカードについての規定も盛り込まれました。
マイナンバーカードと比較されるものに、かつて存在した住民基本台帳カード(住基カード)があります。住基カードは主に身分証明や市町村の特定サービスの利用に使われていました。
一方、マイナンバーカードは身分証明書としてだけでなく、個人番号の確認手段として、さらには市町村だけでなく都道府県や民間でも幅広く利用されています。住基カードはマイナンバーカードの交付が始まった2016年に先立ち、2015年に交付および更新が終了し廃止されました。
住基カードの最終的な交付数は約960万枚だったのに対し、マイナンバーカードの申請数は2024年5月時点で1億枚を突破しており、10倍以上の普及を見せています。
マイナンバーカードの目的
マイナンバーカードは、個人認証のための電子証明書機能を持ち、対面だけでなくオンラインでの行政手続きや民間サービスにおいて「あなたがあなたであること」を証明するために用いられます。
カードに記載された写真や氏名などを対面で確認することはもちろん、マイナンバーカードをスマホやパソコンで読み取ることで、オンライン上でも本人確認が可能です。
こうした利用シーンを前提に作成されたマイナンバーカードを使うことで、以下に説明するような多様な行政・民間サービスを便利に利用することができます。
外国籍の方のマイナンバーカード
マイナンバーを付与されている人は、日本国籍保有者だけではありません。外国籍の方でも日本に住民票があればマイナンバーが与えられています。
例えば、入国管理局から在留カードが交付される「中長期在留者」であれば、日本の市区町村で住民票を取得することができるため、マイナンバーが付与されます。
そして同様に、日本国籍保有者だけでなく外国籍保有者もマイナンバーカードを作成することができます。
外国籍保有者の作成方法などについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
マイナンバーカードでできること
マイナンバーカードでできることとして、券面記載事項を提示することによる対面での本人確認など、従来の運転免許証などと同じものがあります。
他方で、オンライン上での本人確認というマイナンバーカードの特徴から、下記の項目で、すでに多くの便利な活用方法が広がっています。
コンビニでの証明書等取得
出産・子育て
確定申告
給付金の受取
年金
引越し
パスポート申請・更新
例えば、確定申告に関するデータを自動的に入力すること、コンビニなどで住民票などの証明書を発行できること、自分の医療・投薬情報を確認できることなどが挙げられます。
さらに詳しく知りたい方はデジタル庁公式サイト(※)において各自治体ごとの利用シーンを見ることができるのでご覧ください。
民間のマイナンバーカード利用事例
民間でのマイナンバーカードの利用も進んでおり、特に金融機関における公的個人認証サービスの検討が活発化しています。
政府は2023年に「本人確認手法のマイナンバーカードへの一本化」の方針(※1)を発表し、2025年までに公的個人認証を活用した本人確認が必須になります。また同年、デジタル庁より「最新の利用者情報(4情報)提供サービス」(※2)が発表され、デジタル・オンライン上で安全かつ確実に継続的顧客管理や住所変更などの手続きを完了できるようになりました。xIDでは、政府の方針に合わせてNTTデータと連携を強化し、包括的な「公的個人認証サービス」の提供(※3)を開始しました。
また、SocioFutureと事業連携し、金融機関向けの「継続的顧客管理サービス」を共同開発(※4)しています。既に多くの金融機関から問い合わせを受けており、今後ますます他の事業者でも同様の動きが出てくると思われます。
まとめ
この記事では、マイナンバーカードの全体像について解説しました。マイナンバーカードができた経緯から、人口減少や少子高齢化に伴う行政の効率化への対応策という側面も見えてきます。また、効率化するためにオンライン上での行政手続きやその前提となる本人確認を行うために、マイナンバーカードは重要な役割を果たしています。
それだけでなく、最近ではチケットなどの不正転売防止の観点からマイナンバーカードを活用する取り組みも見られます。今後は行政・公共領域だけでなく、さらに民間領域にも活用の幅が広がると思われます。
xIDでは金融機関アプリや自治体サービスへのマイナンバーカード実装に向けたご相談の対応を随時承っておりますので、下記連絡先よりお気軽にお問い合わせください。